とらすず日記

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旧大阪鉄道亀瀬隧道(亀の瀬トンネル)

亀の瀬地すべり見学会
◆亀の瀬地すべり見学
~2023年8月23日(水)~

奈良県大阪府へ流れる大和川付近(亀の瀬)。
日本書紀万葉集にも「畏(かしこ)の坂」として登場するほど、地すべりで恐れられる地域。

今回、大阪府柏原市が中心で見学会の募集があり参加。
事前に少人数の募集があり、当日はMAX12名が参加。
(平日なので、中高年のペアさんを中心に12名)

参加開始時間は13時半から。

最寄駅の大和路線河内堅上駅で下車。

大和路線河内堅上駅

普通列車のみ停車する駅。

大和路線河内堅上駅

下車した時は改札業務の休憩時間。
ICカードで下車し、線路沿いの道を歩いて行きます。

大和路線河内堅上駅

大阪と奈良の県境を走る大和路線にある河内堅上駅
駅前には、聖徳太子が関与したと言われる龍田道があります。

奈良時代平城京と河内、難波を結ぶ官道となり、天皇行幸遣唐使遣新羅使が大和に入る玄関口だったようです。
現在は、山間の細い道が続きます。
駅前にお店らしきものがありますが、営業しているか分からない閑散としたところです。

河内堅上駅 駅前

今回の亀の瀬地すべり見学は、ここから徒歩20分先で行われます。

JR河内堅上駅から亀の瀬へ向かう途中にある第四大和川橋梁。
大和川が狭く、地滑り地帯で、トラス橋の上に交叉してプレートガーター橋が乗る珍しい構造の橋。

第四大和川橋梁

土木遺産関西本線三郷~河内堅上間橋梁群」としてプレートが貼られていました。

プレート

さらに、大和川にあるカメに似た亀石(亀岩)。

亀石

こちらでは、見学途中にも立ち寄りますが、最初に立ち寄りました。

亀石

亀岩が動くと、地すべりが起こって大和川がふさがれ、大和(奈良県)に洪水が起こるという伝承があります。
ここを過ぎると、集合場所の亀の瀬地すべり資料室へ到着します。

13:10
JR河内堅上駅から小雨が降り続く中、徒歩20分。
古くから地すべりが頻発する地域を紹介する施設に到着。

亀の瀬地すべり資料室

施設内には、亀の瀬地すべりの歴史・メカニズム・対策工事の内容などをパネルや模型が展示されています。

パネルや模型が展示

13:30-13:50
12名の参加者は施設2階に集合し、亀の瀬地すべりの概要の映像を視聴。
その後、ガイドさんが1階の展示物を説明。

1階の展示物

説明が終わり、いよいよ外の坑道へ。

14:03-14:20
最初は、施設の右前すぐにある排水トンネルへ。

排水トンネル

亀の瀬の地すべり対策は、日本最大規模で、深さ100mもの深礎工や多数の鋼管杭工で地すべりの圧力を抑止するとともに 排土工等を実施。
さらに水路工、集水井工、トンネル排水工など様々な技術を駆使して工事を行う一方、監視装置も随所に配置することで、 二重、三重に万全な対策を施しています。

通常は、見学不可ですがこの日はガイドさんと共に見学。

天井からの水滴が時折落ち、頻繁にトンネル道の中央に流れる水。

排水トンネル(内部)

排水対策として、途中上を見ると空が見える「集水井」(水を集める巨大な井戸)があったり、集まった水は横の大和川へ流す「排水トンネル工」、地中の水を集める「集水ボーリング工」などの対策工事施設を見学できました。

上を見ると地上が見える「集水井」

排水トンネル(奥部)

西支線(左)と本線(右)

その後、大和川方向へ。
(周囲を散策)

14:22-14:37
川には、カメに似た亀石(亀岩)があります。

亀岩

亀岩が動くと、地すべりが起こって大和川がふさがれ、大和(奈良県)に洪水が起こるという伝承があるところです。

川沿いからは、排水トンネルが見えています。

排水トンネル

排水トンネル

次は、2008年(平成20年)の排水トンネル掘削中に一部区間が偶然見つかった旧大阪鉄道亀瀬隧道(亀の瀬トンネル)へ向かいます。

その途中には、龍王社がありますが、こちらは見学後に参拝します。

龍王

14:37-14:57
大和川から山側へ階段を上がると目の前に亀の瀬トンネルが見えてきます。

亀の瀬トンネル(右)

2008年の排水トンネル掘削中に見つかったもので、1931年(昭和6年)に、大規模地すべりで崩壊したと思われるもとです。
約80年ぶりに発掘されたトンネルのようです。

旧大阪鉄道亀瀬隧道(亀の瀬トンネル)

早速、入口の施錠を解除し入ります。
天井には蒸気機関車の煤(すす)らしき黒い跡も見られます。

旧大阪鉄道亀瀬隧道

亀の瀬トンネル内の煉瓦は、耐久性に優れたイギリス積みで施工されているようです。
 
◇イギリス積み◇
明治に日本へ伝わってきた技術。
レンガの長手だけの段と小口だけの段を交互に積み上げる方式。

旧大阪鉄道亀瀬隧道は、1892年(明治25年)に完成。
明治25年2月2日に開通)
1931年(昭和6年)に、大規模地すべりによる亀裂と隆起が発見され、補強工事の甲斐なく崩落。
翌1932年(昭和7年)に放棄。
線路は大和川左岸に移設されました。
なお、亀の瀬とその周辺は、『もう、すべらせない!~龍田古道の心臓部「亀の瀬」を越えてゆけ~』として、2021年(令和3年)に98番目の日本遺産として認定されたところです。

ガイドさんの説明を終え、今回は特別にトンネル内でプロジェクションマッピングを開催。

プロジェクションマッピング

プロジェクションマッピング

プロジェクションマッピング

トンネル見学は、国交省大和川河川事務所と大阪府柏原市役所・日本遺産推進協議会が随時募集していますが、プロジェクションマッピングは、日本遺産推進協議会主催見学会のみです。

今回はトンネル内でプロジェクションマッピング「日本遺産『龍田古道・亀の瀬』光の旅路」(約2分半)を披露。

48台のプロジェクターを同時使用し、約40メートルに亘るレンガづくりのトンネル壁面全体に投影していました。

少人数なので綺麗に映像が見れました。

発見されたレンガのトンネルは60m。
先は崩壊していました。

崩壊した先端内部

ちなみに、入口から少し入るとこのレンガ造りのトンネルが見れます。
見学用に、下にマットが敷かれ歩きやすくしています。
発見されたトンネルまでは補強工事を行われている箇所があります。

補強トンネル(境界)

トンネルを後にして、解散。
ヘルメットと懐中電池を返却し、先程ゆっくり見れなかった龍王社へ。

15:02-15:09
龍王

龍王

大阪府柏原市峠に浜神を祀る神社。
大和川・亀の瀬右岸にあり、修験道の開祖・役行者が二十八品を埋納した葛城二十八宿経塚の最後の経塚地とされます。
経塚は和歌山県加太町の「友が島」を第一品経塚として始まり、「亀の瀬」の第二十八品経塚が、最後の経塚です。

奈良時代の頃から神仏習合が行われ、写経して神前に奉納したり、経塚に納める風習が起こっていたようです。

川岸近くあり、無人の社。
参拝。

御朱印についての説明が掲載されていましたが、分からなかったのでスルーしました。

御朱印

御朱印についての説明書き

2名の方が、ガイドさんとともに龍王社に来られ、説明を受けていました。

今回は、普段よく通過している大和路線沿線でこのような場所があることを初めて知り、学ぶこともできました。
地すべりは現在工事のおかげで進行していないようですが、まだまだ管理・監視強化のため、周辺の整備が行われているようです。

現在は無料で、大阪府柏原市国交省が見学会を募集されているようです。
日本遺産に認定され、さらに多くの方に知られるようになれば良いかと思います。

以上

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